
近年、日本では地震や台風・豪雨などの自然災害が多発しており、大規模地震はいつどこで発生してもおかしくない状況と言われています。
特に大型マンションでは、災害発生時にエレベーターの停止や停電、断水などが発生する可能性があり、事前の防災対策が非常に重要です。
また、大型マンションでは在宅避難が選択肢となるケースも多いため、各家庭で備えておく防災グッズだけでなく、マンション全体で共用する防災用品や備蓄品の準備も必要になります。
大型マンションの共用防災グッズや備蓄品は、主にマンション管理組合や管理会社が管理・点検を行います。特に大規模マンションでは、居住者数も多いため、計画的な備蓄管理や防災体制の整備が重要になります。
しかし、実際には「どのような防災グッズを備えればよいのか」「どれくらいの量を備蓄すべきなのか」と悩まれる方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、各家庭とマンション管理組合・管理会社それぞれの視点から、大型マンションに必要な防災グッズや備蓄品、防災倉庫についてわかりやすく解説していきます。
日本は自然災害が起こりやすい国

日本は、特有の地形・地質・気象条件により、世界的に見ても地震・台風・津波・豪雨・土砂災害・火山災害などの自然災害が多い国と言われています。
実際に、日本の国土面積は世界全体の約0.25%に過ぎませんが、世界で発生したマグニチュード6以上の地震の約20%が日本周辺で発生していると言われています。
また、世界に存在する活火山の約7%が日本に集中していると言われています。
これらは内閣府のデータでも公表されています。
日本が「災害大国」と言われる主な理由は以下の通りです。
- プレートの境界に位置している
日本列島は、複数のプレートがぶつかり合う境界に位置しています。そのため、大規模地震や津波が発生しやすい環境となっています。 - 急峻(きゅうしゅん)な地形と地質
日本は国土の約75%が山地であり、川も短く急流です。また、地震や火山活動の影響で地盤が弱くなっている地域も多く、大雨時にはがけ崩れや土石流などの土砂災害が発生しやすくなります。 - 多雨・多湿な気象
日本は四季がはっきりしており、梅雨前線や秋雨前線、さらに夏から秋にかけて発生する台風の影響により、年間降水量は世界平均の約2倍とも言われています。
そのため、洪水や浸水被害などの水害も多く発生しています。 - 多くの活火山が存在している
日本には110以上の活火山が存在しており、噴火による火砕流や火山灰だけでなく、火山泥流*などの二次災害にも注意が必要です。
※火山泥流とは、火山灰や岩石などの噴出物と雨水・雪解け水などが混ざり合い、山の斜面を高速で流れる現象のことを言います。
このように、日本は世界的に見ても自然災害の発生リスクが高い国であり、戸建て住宅・マンションを問わず、日頃から防災対策や備蓄を行っておくことが重要です。
特に大型マンションでは、多くの居住者が生活しているため、各家庭だけでなく、管理組合や管理会社による防災対策も重要になります。
大型マンションとは?
本記事でご紹介する防災グッズや備蓄品は、主に総戸数100戸以上の大型マンションを想定しています。
一般的には総戸数100戸以上の集合住宅を「大型マンション」と呼ぶケースが多く、数百戸から1,000戸を超える大規模マンションも存在します。
大型マンションは、多くの人が生活する建物であるため、地震や火災などの災害時にも安全性を確保できるよう、法律によって厳しい耐震基準や防災設備基準が定められています。
日本の大型マンションは、地震が多い日本でも安全性を確保できるよう、高い耐震性能を持つ建物として建築されています。
その裏付けとして、実際に2011年3月に発生した東日本大震災では、大きな被害を受けた宮城県石巻市において「大破し居住不能となったマンションは0件」であったことが報告されています。
建築基準法(第20条)では、建築物の安全性に関する厳しい基準が定められており、特に1981年以降に導入された「新耐震基準」では、震度6強〜7程度の大規模地震でも建物が倒壊・崩壊しないことが義務付けられています。
さらに、大型マンション(および一般的なマンション)には、火災や地震などの災害時に建物内の人々が安全に避難できるよう、さまざまな防災設備や避難設備が設置されています。
多くの建物では消防法や建築基準法により避難器具の設置が義務づけられていますが、消防法施行令(第25条第1項)にも記載があるように、11階以上の高層階では避難はしご・緩降機(かんこうき)・救助袋などによる避難や救助活動が非常に困難で危険を伴うため、「マンションの11階以上」には避難器具の設置義務はありません。
そのため、11階以上の高層階では、避難はしごや緩降機などの避難器具の設置義務はありません。
その代わりに、スプリンクラー設備や非常用エレベーターなど、より高度な防災設備の設置基準が適用されています。
主な設備・基準は以下の通りになります。
スプリンクラーの設置義務

11階以上の高層階では、原則として各住戸や共用部へスプリンクラー設備の設置が義務づけられています。
高層マンションでは、火災発生時に消防車からの放水が届きにくく、避難や消火活動にも時間がかかるため、初期段階で火災を抑えることが非常に重要となります。
そのため、火災を自動で感知して放水を行うスプリンクラー設備は、高層階における被害拡大防止の重要な役割を担っています。
内装材の規制

大型マンションでは、火災時の延焼リスクを抑えるため、壁・天井・床材などに不燃材料や準不燃材料を使用する基準が定められています。
特に高層マンションでは、一度火災が広がると避難が難しくなるケースもあります。
そのため、不燃材料や準不燃材料を使用することで、火災の延焼を抑え、居住者の避難時間確保や被害軽減につながっています。
非常用エレベーターの設置

高さ31mを超える建物(おおむね11階以上)では、火災時などの消火活動や救助活動に対応するため、「非常用エレベーター」の設置が義務づけられています。
非常用エレベーターは、防火・防煙対策や非常電源など、安全性を高めた構造となっているエレベーターになります。多くの大型マンションでは、居住者が普段利用しているエレベーターの一部が非常用エレベーターとなっているケースもあります。
また、非常用エレベーターは災害時に消防隊員による消火活動や救助活動で使用される重要な防災設備ですが、状況に応じて居住者の避難や移動に使用される場合もあります。
※火災や地震発生時にはエレベーターの利用が危険となるケースも十分にあるため、実際の避難時には自分の判断で利用せずに、必ず館内放送や消防隊員・管理会社などの指示に従い行動することが重要です。
防火区画(ぼうかくかく)による延焼防止

大型マンションでは、火災の燃え広がりを防ぐため、一定面積ごとに壁や床で空間を区切る「防火区画」の設置が義務づけられています。
防火区画は、火や煙が建物全体へ一気に広がることを防ぎ、避難時間の確保や被害拡大防止を目的としています。
特に大型マンションでは、居住者数も多いため、火災時に安全な避難経路を確保するうえで非常に重要な設備となります。
排煙設備(はいえんせつび)の設置

大型マンションや31mを超える高層マンションでは、建築基準法に基づき、火災時に発生する煙を屋外へ排出するための排煙設備の設置基準が定められており、多くの建物で設置が義務づけられています。
火災時に最も危険と言われているのが「煙」であり、視界不良や一酸化炭素中毒によって避難が困難になるケースも少なくありません。
排煙設備は、避難経路へ煙が充満することを防ぎ、居住者が安全に避難できる環境を確保する重要な役割を担っています。
このように、大型マンションは高い耐震性能や防災設備を備えていますが、災害時には停電・断水・エレベーター停止などのライフライン被害が発生する可能性があります。
そのため、大型マンションでは建物の安全性だけでなく、各家庭や管理組合・管理会社による防災グッズ・備蓄品の準備も非常に重要になります。
避難設備についての詳細はこちらの記事をご覧ください。


大型マンションで防災グッズが必要な理由

このように、大型マンションには高い耐震性能やさまざまな防災設備が備えられています。
しかし、建物自体が安全であっても、災害時には停電・断水・エレベーター停止などのライフライン被害が発生する可能性があります。
特に大型マンションでは居住者数も多く、高層階では移動や生活への負担も大きくなるため、各家庭や管理組合・管理会社による事前の防災対策が非常に重要となります。
また、災害時には避難所へ移動するのではなく、自宅に留まり生活を続ける「在宅避難」が推奨されるケースも多いため、数日〜1週間程度を自力で生活できるよう、防災グッズや備蓄品を準備しておくことが大切です。
こちらでは、大型マンションで防災グッズが重要と言われている主な理由について解説していきます。
エレベーターの停止と孤立

災害により停電が発生すると、多くのマンションでは安全装置によってエレベーターが自動停止します。特に高層階に住んでいる場合、水や食料、支援物資などを階段で運ぶ必要があり、日常生活が大きく制限される可能性があります。
また、高齢者や小さなお子様がいる家庭では、階段移動そのものが大きな負担になるケースも少なくありません。
そのため、大型マンションでは数日〜1週間程度を自力で生活できるよう、防災グッズや備蓄品を事前に準備しておくことが重要です。
水洗トイレが使えなくなるため

マンションの給水方式によっては、停電や断水によってトイレが流せなくなる場合があります。
特に、ポンプで各階へ給水を行う「加圧給水方式」や「増圧直結給水方式」などのマンションでは、停電時に給水設備が停止し、水が使えなくなるケースがあります。
また、水道が使用できる状況であっても、地震による配管破損が発生している場合には、漏水被害を防ぐため、安全確認が完了するまで水場の流し場、トイレ、お風呂などの使用制限が行われる場合もあります。
そのため、災害時の衛生環境を維持するためには、非常用トイレの備蓄が非常に重要になります。
特に大型マンションでは居住者数も多いため、非常用トイレはマンション防災において最も重要な備蓄品の一つと言われています。
ライフラインが遅れるため

大型マンションでは、管理組合や管理会社が共用の備蓄品を準備している場合もありますが、すべての居住者を長期間支援できる量を確保することは難しく、災害規模によっては、電気・ガス・水道などのライフラインの復旧まで数日〜数週間かかる場合もあります。
また、マンションによっては、管理組合や管理会社が共用の防災グッズや備蓄品を準備している場合もありますが、その備蓄内容や数量について法律で明確に義務づけられているわけではありません。
そのため、防災対策の内容はマンションごとに異なり、共用備蓄だけで全居住者を長期間支援できるとは限りません。
マンション共用部の備蓄だけに頼るのではなく、各家庭においても飲料水・非常食・非常用トイレ・モバイルバッテリー・衛生用品などを事前に備えておき、災害発生後も一定期間は自力で生活を維持できるよう備えることが重要です。
このように、大型マンションでは災害発生後も生活を継続できるよう、事前に防災グッズや備蓄品を準備しておくことが非常に重要になります。
また、事前に自宅周辺の災害リスクを確認しておくことも重要です。
国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」では、ご自身の居住区や周辺の洪水・津波・土砂災害などの被害想定を簡単に確認することができます。
大型マンションの防災グッズは誰が管理する?

このように、大型マンションでは各家庭での備えだけでなく、マンション全体での防災対策や備蓄管理も非常に重要になります。
しかし、実際には「マンションの防災グッズや備蓄品は誰が準備・管理しているのか」がわからない方も多いのではないでしょうか。
大型マンションの防災グッズや備蓄品は、主に「マンション管理会社」や「マンション管理組合」が中心となって管理しています。
一般的には、マンション管理組合が「どのような防災グッズを、どれくらい備蓄するのか」を決定し、必要な予算を組んだうえで購入を行います。
一方で、防災グッズや備蓄品の点検・補充・保管管理などの実務については、マンション管理会社が担当しているケースも多くあります。
管理会社と管理組合の違いは以下の通りです。
マンション管理会社
マンション管理会社とは、マンション管理組合から委託を受け、清掃・設備点検・会計管理・修繕対応などの実務を代行する専門業者のことを指します。
マンション防災においても、防災グッズや備蓄品の点検・補充・保管管理、防災訓練のサポートなどを行うケースがあります。
マンション管理組合
マンション管理組合とは、分譲マンションの区分所有者全員で構成される「マンションの自治組織」のことを指します。
分譲マンションでは、部屋を購入すると自動的に管理組合のメンバーとなり、住民が安全かつ快適に生活できるよう、建物の維持管理や修繕計画、マンション内のルール整備などを行います。大型マンションでは、防災対策も重要な管理業務の一つとなっており、防災グッズや備蓄品の整備、防災倉庫の管理、防災マニュアルの作成などを行うケースもあります。
また、管理組合は「理事長」「副理事長」「理事」「監事」などの役員で構成されており、マンションによっては「防災担当者」や「防災委員会」を設置している場合もあります。
賃貸マンションの場合は?
賃貸マンションの場合は、分譲マンションのような管理組合は基本的に存在しません。
そのため、防災グッズや備蓄品、防災設備などの維持管理については、マンションを所有しているオーナー(大家さん)や管理会社が中心となって対応を行うケースが一般的となります。
大型マンションに必要な防災グッズ

大型マンションでは管理組合や管理会社による共用部の防災対策も重要ですが、災害時には各家庭での備えも欠かせません。
特に大型マンションでは、停電によるエレベーター停止や断水、物流の停止などによって、数日〜1週間程度は自力で生活を維持しなければならないケースも想定されます。
また、一般家庭の一戸建て住宅と大型マンションでは、「災害時の避難方法」にも大きな違いがあります。
一戸建て住宅では、建物倒壊のリスクを考慮し、避難所へ避難することを前提とした備えが必要になりますが、一方で、大型マンションは耐震性能が高く、災害後も自宅で生活を続ける「在宅避難」が基本となるため、飲料水・非常食・非常用トイレなどの生活用品は一戸建て住宅よりも多く備蓄しておくことが重要になります。
特に大型マンションでは、各家庭で最低3日分、できれば1週間分程度の防災グッズや備蓄品を準備しておくことが推奨されています。
また、各家庭での備えに加え、災害時に住民全体の生活を支えるため、管理組合や管理会社による共用備蓄の整備や管理を行うことが重要となります。
ここからは、大型マンションで備えておきたい防災グッズについて、「各家庭で準備するもの」と「マンション全体で備蓄しておくもの」に分けてご紹介していきます。
大型マンション内の「各家庭で備えておくべき防災グッズ」

大型マンションでは、在宅避難を前提とした備えが重要になるため、各家庭でも十分な防災グッズや備蓄品を準備しておく必要があります。
特に高層マンションでは、災害発生後もすぐにライフラインや物流が復旧するとは限らず、一定期間は限られた物資で生活を続けなければならないケースも想定されます。
そのため、大型マンションでは各家庭において、最低でも3日分、可能であれば7日分程度の防災グッズや備蓄品を備えておくことが推奨されています。
主な防災グッズは以下の通りです。
水

飲料水は「1人につき1日3L」が目安とされており、ご家族の人数×7日分程度を備蓄しておくことが推奨されています。
また、飲料水とは別に、断水時の手洗いや歯磨きなどに使用する「生活用水」の確保も重要です。
普段から浴槽へ水を溜めたままにしておいたり、ウォータータンクを準備しておくと安心です。
食料

災害時は電気・ガス・水道などのライフラインが停止する可能性があるため、以下のような調理不要ですぐ食べられる食品を中心に備えておくことが重要です。
- アルファ米
- レトルト食品
- 缶詰
- 栄養補助食品 など

また、農林水産省では「ローリングストック」と呼ばれる備蓄方法も推奨されています。
ローリングストックとは、普段から少し多めに食品を買い置きし、日常生活で消費した分を買い足していくことで、常に一定量の食品を家庭に備蓄しておく方法のことです。
無理なく備蓄を続けやすく、賞味期限切れも防ぎやすいため、大型マンションでの防災対策としてもおすすめされています。
衛生・救急用品

- 非常用トイレ(1人あたり5〜7回/日が目安)
- トイレットペーパー
- マスク
- ゴミ袋
- ウェットティッシュ
- 使い捨て手袋
- アルコール消毒
- 絆創膏
- 常備薬
- 生理用品 etc.
断水時に特に困るのが「トイレ」です。
大型マンションでは、断水や排水管の詰まり・破損が発生した場合、下の階へ汚水が逆流するリスクがあるため、災害時にはトイレの使用が制限されるケースもあります。そのため、非常用トイレは1人あたり1日5〜7回程度が目安とされているため、最低でも35〜50回分程度を備えておくと安心です。
また、避難生活では水が貴重になるため、普段のように流水で十分な手洗いができなくなる可能性があります。そのため、アルコール消毒やウェットティッシュ、水のいらない歯磨きシート、体拭きシートなどの衛生用品も重要になります。
さらに、持病がある方は、普段服用している薬を少し多めにストックしておくことも大切です。
生活用品

- カセットコンロ
- ガスボンベ
電気やガスが停止した際、湯沸かしや簡単な調理を行うために役立ちます。
特にオール電化マンションでは、停電時に火が一切使用できなくなるため、カセットコンロやガスボンベは重要な備蓄品となります。
電源・通信用品

- 携帯ラジオ
- モバイルバッテリー
- 予備乾電池
- トランシーバー etc.
災害時には、インターネットやスマートフォンの通信が不安定になる可能性があります。
そのため、被害状況や避難所情報、行政からのアナウンスなどを確認するためにも、携帯ラジオを準備しておくことが推奨されています。
また、懐中電灯やLEDライト、モバイルバッテリーなどを長時間使用できるよう、予備乾電池も備えておくと安心です。
安全用品

- 懐中電灯
- LEDライト
- 軍手
- ホイッスル
- 安全靴
- ヘルメット etc.
災害によって停電が発生した場合、復旧まで数日〜数週間かかるケースもあるため、懐中電灯やLEDライトなどによる灯りの確保は非常に重要になります。
特に大型マンションでは、停電によって共用廊下や階段が暗くなったり、エレベーターが停止したりする可能性もあるため、安全に移動できる環境を確保しておくことが大切です。
また、マンション内を移動する際には、落下物やガラス片などによるケガのリスクもあるため、ヘルメットや軍手、安全靴などを備えておくと安心です。
管理組合(マンション全体)で備える防災グッズ

大型マンションでは、各家庭で防災グッズや備蓄品を準備しておくことが基本となりますが、災害時にはマンション全体で使用する「共用備蓄」の整備も非常に重要となります。
特に大型マンションでは、管理組合や管理会社が中心となって、各家庭だけでは備えきれない物資や、大人数で使用する防災用品を共用部へ備蓄しているケースも多くあります。
管理組合で備える防災グッズは、各家庭で用意する備蓄の不足分を補うものや、保管スペースの問題から各家庭では備えにくい大型備蓄品、マンション全体で使用する防災用品などが中心となります。
各家庭で防災グッズを準備する際は、まず管理組合や管理会社がどのような共用備蓄を用意しているか確認しておくことが大切です。
そのうえで、不足しているものを各家庭で備えることで、より実効性の高い防災対策につながります。
一般的には以下のような防災グッズや備蓄品を管理組合や管理会社で備えているケースが多くあります。
飲料水・食料

一般的に、災害時の飲料水や食料は最低でも3日分、できれば1週間分程度の備蓄が推奨されています。
しかし、大型マンションでは居住者全員分の水や非常食を管理組合・管理会社のみで用意するには、多大なコストや保管スペースが必要となるため、共用備蓄だけで完全に対応することは難しいケースも少なくありません。
そのため、水や非常食については「各家庭で備蓄すること」を基本としつつ、不足時に備えてマンション共用部でも一定量を備蓄しておくことが重要となります。
備蓄する際は、長期保存が可能な缶詰・レトルト食品・アルファ米・保存水などを中心に準備しておくことがおすすめです。
簡易トイレ

各家庭でも簡易トイレは「1人1日5〜7回×7日分」程度を備えておくことが推奨されています。
断水が長期化する可能性を考慮し、管理組合や管理会社でも共用備蓄として準備しておくことが重要です。
特に大型マンションでは、排水設備の破損や使用制限によって長期間トイレが使用できなくなるケースも想定されるため、非常用トイレは優先的に備えておきたい備蓄品の一つです。
救急セット

災害時にはケガ人や体調不良者が発生する可能性があるため、管理組合では大人数へ対応できる救急セットを備えておくことが重要です。
また、各家庭では保管が難しい簡易担架なども共用備蓄として準備しておくと安心です。
- 絆創膏
- 消毒・除菌スプレー
- ガーゼ
- 包帯
- 綿棒
- ピンセット
- ハサミ
- ウェットティッシュ etc.
医療用品には使用期限があるため、定期的に点検を行い、期限切れとなったものは早めに交換することも重要になります。
安全用品

- ヘルメット
- 軍手
- 拡声器
- つるはし
- ハンマー
- バール
- ノコギリ
- その他工具 etc.
大規模災害が発生した際には、管理組合の役員や防災担当者などが、避難誘導・安否確認・初期消火・救助活動などを行うケースがあります。
そのため、災害対応を行う人員分のヘルメットや安全用品を準備しておく必要があります。
また、地震によって玄関ドアの変形や家具転倒などが発生し、室内へ閉じ込められてしまうケースも想定されるため、バール・ハンマー・つるはし・のこぎりなどの救助用工具を備えておくことも推奨されています。
電源・通信用品

- ラジオ
- トランシーバー
- ポータブル電源
- 発電機 etc.
災害時には停電や通信障害によって、スマートフォンやインターネットが利用できなくなる可能性があります。
スマホが使えなくなったときに、正確な情報収集のためにラジオは必須アイテムです。
被害状況や行政からの情報収集を行うためのラジオは、マンション防災において非常に重要な防災グッズの一つです。
トランシーバーは携帯電話回線を利用しないため、通信障害が発生した場合でも安否確認や避難誘導を行える重要な通信手段となります。
また、発電機やポータブル電源を用意しておくと、スマホやトランシーバーの充電や照明の確保に役立ちます。
大型マンションで必要となる防災グッズや備蓄品は、マンションの規模や管理方針によって異なります。
そのため、各家庭では、管理組合や管理会社が準備している共用備蓄の内容も確認したうえで、不足する防災グッズや備蓄品を備えておくことが大切です。
大型マンションには防災倉庫が必要

大型マンションでは各家庭での備蓄だけでなく、管理組合や管理会社によるマンション全体での防災対策や共用備蓄も非常に重要になります。
その中でも、大型マンションの防災対策において重要となるのが「防災倉庫」の設置です。
防災倉庫とは、災害時に必要となる非常食・飲料水・生活必需品・簡易トイレ・救助工具などの防災用品や備蓄品を保管しておくための倉庫のことを指します。
災害発生時には、必要な物資を迅速に供給する備蓄拠点として機能し、在宅避難を支える重要な役割を担っています。
特に大型マンションでは、多くの居住者が在宅避難を行うことが想定されるため、ライフラインが復旧するまでの生活を支える備蓄拠点として、防災倉庫の設置が強く推奨されています。
特に大型マンションでは、飲料水や簡易トイレなどの大量備蓄に加え、発電機・救助工具・担架など、保管場所や重量の問題から各家庭では備えにくい防災用品を備える必要もあります。
そのため、防災倉庫は、管理組合や管理会社による災害対応や救助活動、復旧活動を支える重要な設備の一つとなっています。
防災倉庫には何を保管する?
防災倉庫には、災害時に住民の生活を支えるための備蓄品や、管理組合・管理会社による初期対応や救助活動に使用する防災用品を保管します。
一般的には以下のようなものが保管されています。
- 飲料水
- 非常食
- 簡易トイレ
- 毛布
- 発電機
- ポータブル電源
- 担架
- 救急セット
- ヘルメット
- バールやハンマーなどの救助工具 etc.
防災倉庫に保管する物資は、マンションの規模や管理方針によって異なりますが、在宅避難や初期救助活動を支えるための備蓄品・防災用品を中心に備えることが一般的です。
また、防災倉庫については、全国一律で設置義務が法律により定められているわけではありません。
しかし、東京都などの一部の自治体では、安全条例や指導要項などにより、大型マンションや一定規模以上の共同住宅に対して、防災倉庫の設置を求めている地区もあります。
防災倉庫は設置して終わりではなく、保管している備蓄品の数量や使用期限を定期的に確認し、適切に管理していくことも重要です。
大型マンションでの防災グッズを保管する際の注意点

このように、大型マンションでは各家庭での備蓄だけでなく、管理組合や管理会社による共用備蓄や防災倉庫の運用も非常に重要になります。
しかし、防災グッズや備蓄品は、ただ用意するだけでは十分ではありません。
災害時に必要なものをすぐ取り出せるようにするためには、「どこに」「どのように」保管するかも非常に重要になります。
特に大型マンションでは、停電によるエレベーター停止や建物の一部損壊などによって、備蓄品を取り出しにくくなるケースも想定されるため、保管方法には注意が必要です。
ここでは、大型マンションで防災グッズや備蓄品を保管する際の主な注意点について解説します。
避難経路を塞がない場所に保管する

大型マンションでは、ベランダ・共用廊下・階段などは災害時の重要な避難経路となります。
そのため、避難の妨げとなる物を放置することは、消防法(第8条の2の4)に基づき適切な管理が求められています。
また、ベランダは直射日光や風雨の影響を受けやすいため、飲料水や食料の品質が劣化したり、プラスチック製の防災用品が破損しやすくなったりする可能性もあります。
そのため、防災グッズや備蓄品は、避難の妨げにならず、温度変化や湿気の少ない場所へ保管することが重要です。
消防法 第八条の二の四
「学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店、旅館、飲食店、地下街、複合用途防火対象物その他の防火対象物で政令で定めるものの管理について権限を有する者は、当該防火対象物の廊下、階段、避難口その他の避難上必要な施設について避難の支障になる物件が放置され、又はみだりに存置されないよう管理し、かつ、防火戸についてその閉鎖の支障になる物件が放置され、又はみだりに存置されないように管理しなければならない。」
引用元:消防法
定期的に点検・補充・管理を行う

食品・飲料水・乾電池・医療用品などには、賞味期限や使用期限があります。
そのため、各家庭では定期的に備蓄品を確認し、マンション共用部の備蓄については、管理組合や管理会社を中心に点検・補充・管理を行うことが重要です。
また、期限が近づいた備蓄品は各家庭で消費したり、住民へ配布したりしながら、新しいものを補充していく「ローリングストック」を行うことで、備蓄品の期限切れ防止にもつながるため、おすすめの管理方法です。
複数の場所に分散備蓄(ぶんさんびちく)する

防災倉庫へすべての備蓄品をまとめて保管していると、停電によるエレベーター停止や建物の一部損壊などによって、必要な物資を取り出せなくなる可能性があります。
そのため、大型マンションでは、防災倉庫だけでなく、各階の共用スペースや複数の場所へ分散して備蓄品を配置しておくことが重要です。
また、備蓄品の保管場所については、管理組合や管理会社から住民全体へ事前に共有しておくことも非常に大切です。
各家庭でも備蓄品を一箇所へまとめて保管するのではなく、キッチン・クローゼット・ベッド下など複数箇所へ分散して保管しておくことがおすすめです。
そうすることで、家具の転倒や部屋の一部損壊が発生した場合でも、必要な防災グッズを取り出しやすくなります。
落下の危険がある場所への保管は避ける

飲料水・ガスボンベ・工具類など重量のある防災用品は、地震の揺れによって落下する危険があります。
高い場所に置かれた防災用品が落下し、人に当たることでケガにつながる可能性もあるため注意が必要です。
そのため、防災グッズや備蓄品は、できるだけ腰より低い位置へ保管しておくと安全です。
特に大型マンションでは、地震時の揺れが大きくなる高層階もあるため、落下防止対策を意識した保管方法が重要になります。
※大型マンションでは、管理組合や自治体ごとに防災ルールや備蓄方針が異なる場合があります。そのため、お住まいの地区や自治体が発行している「マンション防災対策の手引き」なども確認しておくことをおすすめします。
防災グッズの相談は防災設備会社がおすすめ

このように、大型マンションの防災対策では、各家庭での備蓄だけでなく、管理組合や管理会社による共用備蓄、防災倉庫の運用、防災設備の管理など、さまざまな視点から対策を行う必要があります。
しかし、実際には、防災対策を進めようと思っても、何から始めればよいかわからないという声も少なくありません。
何をどれくらい備蓄すればよいかわからない
大型マンションではどんな防災対策が必要なのかわからない
管理組合としてどこまで準備すべきかわからない
このような防災対策や備蓄計画に悩まれた際は、防災設備会社へ相談することをおすすめします。
防災設備会社では、消防設備の設置・点検だけでなく、マンションや法人向けの防災グッズ・備蓄品・防災倉庫・災害対策について、総合的なご提案やアドバイスを行っています。
特に大型マンションでは、「居住者数」「建物規模」「高層階の有無」「防災倉庫の広さ」「在宅避難を想定した備蓄量」などによって、必要な防災対策が大きく異なります。そのため、マンションごとの状況に合わせて、防災対策を検討することが重要になります。

私たち【株式会社リライアークス】でも、消防設備の点検・工事をはじめ、防災に関するご相談を承っております。
当社には、消防設備士や消防設備点検資格者などの国家資格を持つスタッフが在籍しており、お客様の建物や状況に合わせたご提案を行っております。
また、「大型マンションでは何をどれくらい備蓄すればよいのか知りたい」「管理組合として防災対策を見直したい」「防災倉庫や共用備蓄について相談したい」といったご相談にも対応しております。
横浜を拠点に、一都三県で防災設備に関する業務を行っておりますので、マンション防災や防災グッズ・備蓄品についてお困りごとがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
大型マンションにおける防災グッズや備蓄品は、災害時に「在宅避難」を支える非常に重要な役割を担っています。
日本の大型マンションは、世界的に見ても高い耐震性能を持っており、大地震発生時でも建物自体が倒壊しにくい構造となっています。

しかし、その一方で大型マンションには以下のような特有の生活リスクも存在します。
- 停電によるエレベーター停止
- 断水
- ライフライン停止
- 物流の遅延
- 高層階での孤立化
特に大規模災害時には、すべての住民が避難所へ移動できるとは限らないため、大型マンションでは「在宅避難」が基本となります。
そのため、各家庭での防災グッズや備蓄品の準備に加え、管理組合や管理会社による共用備蓄や防災倉庫の運用も非常に重要になります。
また、マンション管理組合による共用備蓄については、法律で明確に義務化されているわけではないため、備蓄内容や防災対策はマンションごとに大きく異なります。
マンション管理組合では、以下のような防災グッズや備蓄品が防災倉庫などに保管されている場合が一般的です。
- 飲料水
- 非常食
- 簡易トイレ
- 救急セット
- 安全用品
- 発電機・通信機器 etc.
現在、日本では、いつどこで大規模地震や自然災害が発生してもおかしくない状況にあります。
そのため、大型マンションでは、各家庭・管理組合・管理会社が連携しながら、事前に防災対策や備蓄を行っておくことが非常に重要となります。
大型マンション向けの防災グッズや備蓄、防災倉庫についてご不明な点がございましたら、ぜひお気軽に株式会社リライアークスまでご相談ください。
消防設備士や消防設備点検資格者などの有資格者が、マンションの規模や居住者数、防災方針に合わせた防災対策や備蓄計画についてご提案いたします。

