
『避難設備』は火災や地震などの災害のときに、安全かつ迅速に避難ができるようにするための設備や器具の総称のことを指します。
避難設備は多くの建物に設置や点検が義務付けられており、いざというときに命を守るための欠かすことのできない消防設備になります。
しかし、避難設備にはさまざまな種類があるため、マンションやビルのオーナー様、商業施設の管理者様の所有する建物に法律に遵守するようどの消防設備をどこにどれだけ設置をしなければならないのかわからない方も多いのではないでしょうか。
火災などの災害はいつ起こるか予測ができないため、突然訪れる緊急事態に備えておくことが非常に重要です。
今回の記事では、数ある消防設備の中から『避難設備の種類やそれぞれの特徴』などについて詳しく解説していきます。
現在の日本の火災状況


現在、日本ではどれくらい火災が起こっているのでしょうか?
令和6年の消防庁のデータ※1によると、1~12月までの日本における火災発生件数の累計は「37,036件」であるという結果が出ています。
これは平均で1日約101件、約14分ごとに1件の火災が全国のどこかで起こっていることになります。
そのうち「20,908件」は建物火災であり住宅火災においては「11,232件」と建物火災の半数以上を占めています。
住宅火災による死者は「970人」になりますが、そのうちの「730人」が65歳以上の高齢者であることも明らかになっています。
また、平成22年にはカラオケ店で火災※2が発生したものの、避難設備がしっかり設置されていなかったために5人が負傷、3人が死亡してしまったという事故がありました。
この事故では、火災が起こった2階では脱出口が内階段しかなく、避難はしご・誘導灯などの避難設備をはじめ、非常ベルの設置もされていなかったことが報告されています。
さらに消火設備や避難設備の使用方法・避難方法に加え、火災発生時に備えての指示や訓練を実施していなかったことも事故後の調査で発覚しました。
このような事故を2度と起こさないためにも、避難設備の設置は非常に重要となります。
避難設備の重要性

火災発生時、一番大切なことは「人命の保護」です。
人命を守るために、避難設備が重要とされる理由は次のようなことになります。
- 命を守るための経路の確保
災害時に高層階や地下から避難する場合、避難経路が使えないことがあります。避難設備は、そのようなときに安全に建物から脱出するための手段となります。 - 混乱を防止しスムーズな避難を促す
災害時は多くの人が一斉に避難しようとするため、混乱や将棋倒しが起こる可能性があります。また、停電や煙の充満によりパニック状態になることもあります。
避難設備があることで、避難経路や非常口の場所が明確にわかるため、人々をスムーズに誘導し迅速な避難をすることができます。 - 特別な配慮が必要な人を支援する
避難設備は高齢者や車いす利用者など、自力での移動が困難な人々の避難をサポートするために、「避難用タラップ」なども開発されています。
令和6年版 消防白書のデータ※3にあるように、火災による死者数(自殺者を除く)の多くは、逃げ遅れが原因ということもわかっています。
また、前の章でも住宅火災による死者は、65歳以上の高齢者が半数以上を占めていることお伝えしましたが、逃げ遅れた方の特徴として「病気や体の不自由な方」の割合が多かったことも2014年〜2018年の消防庁のデータ※4から明らかになっています。
そのため、特に高層階のマンションなどの住宅では、高齢者や病気の方・体が不自由な方の逃げ遅れを防ぐためにも、避難設備の設置・点検等は非常に重要となります。
※2 総務省消防庁, 住宅火災による死者の実態について- 高齢者の生活実態に対応した住宅防火対策のあり方に関する検討部会(第1回)- , 2020
避難設備の種類

避難設備にはさまざまな種類があるので、こちらでご紹介していきます。
また、命を守るための避難設備ですが、少なからず使用時の事故もあるようなので、使い方の注意点についても解説していきます。
避難設備①: 避難はしご

避難はしごは、火災や地震などの災害で、普段利用しているビルやマンションの階段やエレベーターが使えなくなったときに、ベランダや窓から避難するための器具です。
避難はしごには金属製と非金属製のものがありますが、消防法に基づいて定められた基準を満たしている避難はしごの多くが金属製です。
消防法に適合しているかを国の基準で審査され、クリアしたものは「消防認定品」と呼ばれ、認定証票が交付されます。
そのため、消防法で設置が義務づけられている避難設備として使用するためには、消防認定品と認められた製品でなければなりません。
したがって、オフィスビルやマンション・ホテル・病院・学校などの不特定多数が出入りする建物(防火対象物:ぼうかたいしょうぶつ)では、設置義務があるところが多く、ほとんどの避難はしごは検定に合格した金属製が使われています。
避難はしごは、法令においても規格が以下の4つの種類に定められています。
固定はしご

ビルやマンション・倉庫などの防火対象物に、常に設置されている移動ができないタイプの避難はしごのことを指します。固定はしごには伸縮式のものもあり、伸縮式の場合は通常短く収納されています。
常時建物に固定されているので、火災などの緊急時に持ち運ぶことなくすぐに使えるところが大きな利点です。
設置場所が屋外なため雨や汚れなどで滑りやすくなっていることや、夏場は高温になっていることに気づかず、火傷をしてしまう可能性があります。
立てかけはしご

普段は収納してあり、火災などが起きた際にマンションやビル・ホテルなどの防火対象物の壁や窓枠に立てかけて使用する避難器具のことを指します。
収納性には優れていますが、実際に使う際は落着いて設置する必要があります。
しかしながら、立てかけはしごで国の審査基準をクリアした合格品はここ数年では現存せず、販売もされていないようです。
つり下げはしご

マンションやビルなどの防火対象物の高所部分にフックなどで引っかけて使う、一時的な避難はしごです。
折りたたみ式・伸縮式・ワイヤーロープ式・チェーン式などさまざまな種類があり、普段は折りたたみや巻き納めるなどの方法で収納されています。
固定はしごとは異なり、壁などにスペースを取らず設置でき、必要な場所に素早くかけられるのが特徴です。
しかし、設置義務がある建物では、原則として3階までしか設置できないとされています。
ハッチ用つり下げはしご

マンションや共同住宅の床下のハッチ(開口部)に収納されている避難はしごの一種です。
火災や地震などの緊急時にハッチを開け、はしごをつり下ろすことで上から下への避難経路を確保できます。
折りたたみ式とスライド式があり、緊急時でも使い方が簡単なところが特徴です。
避難はしごの使用方法
避難はしごにはさまざまな種類があることがわかりましたが、こちらでは「ハッチ用つり下げはしご」の使い方について簡単に手順をご説明します。
- はしごの上のフタをゆっくりと持ち上げ、ハッチを開けます
- チャイルドロックがかかっている場合は、先にロックを解除してからフタをあけます
- レバーを倒す、またははしごを下ろすボタンを押し、格納されているはしごを下ろし使える状態にします。
- はしごを下ろせたら、落ち着いて下までゆっくりと降下します
より詳細な使い方を知りたい方は、
弊社(株式会社リライアークス)の動画ではございませんがこちらの動画がわかりやすくおすすめです。
注意点
避難はしごを使用する際は、設置場所の周辺に荷物などがたくさん置いていると、いざというときにスムーズな避難ができなくなる物を置かないようにすることが大切です。※5
また、はしごを降りるときは「両手と片足または両足と片手」という3点で常に体を支えるようにしてください。その他にも以下注意点などが挙げられます。
- はしごから身を乗り出さない
- 荷物は最小限にする
- しっかりと手すりを使う
- 一歩ずつ確実に降りる
- はしごに対して常に体を正面に向ける
これらをしっかりと意識することで安全な昇降をすることができます。
避難設備②: 緩降機(かんこうき)
緩降機とは火災などで階段が使えない場合に、利用者が自重でゆっくりと安全に降下できる避難器具のことです。
建物の窓などに常時固定され、設置場所から移動させることはない「固定式緩降機」と、普段は格納箱の収納されており、いざというときに取り出して使用する「可搬式(かばんしき)緩降機」の2つの種類があります。
緩降機は着用具を装着しロープが動くと歯車が回転し、遠心ブレーキが作動することで、体重に関係なく一定の速度で自動調節され地上に降下できます。
また、1人が降下している間、もう一人の着用しているベルトがつるべ式(井戸のつるべの仕組みを応用した、滑車とロープで物をつり上げる方式)上昇するため、連続して次の人が使用できます。
緩降機の使用方法
- 本体収納箱から調速機(ちょうそくき:機械の回転速度を一定に保つための自動制御装置のこと)と着用具を取り出します。
- 取付け金具の吊り輪にフックの安全環(あんぜんかん:ロック機能が備わっているカナビラのこと)をかけ、しっかりと固定されていることを確認します。
- ロープの巻いてあるリールを建物の外へ投げおろします。ベルトを頭からかぶり、ねじれがないように脇にの下にしっかり装着します。※短いほうのベルトがたるんでいないかを確認し、胸の一でしっかりと締めます。
- 調速機のすぐ下にあるロープ2本を両手で握ります。※着用部からロープまでの長さは、衝撃をさけるため10㎝程度に保ちます。
- 窓から出て、窓枠やベランダなどに足をかけて降下姿勢を取ります。
- 安全な姿勢が取れたら、ロープから手を離しゆっくりと降下します。
- 着地したら着用具を外します。
文章だけではなかなか理解しづらい部分もあるかと思います。
より詳細な使い方を知りたい方は、弊社(株式会社リライアークス)の動画ではございませんがこちらの動画がわかりやすくおすすめです。
是非ご覧ください。
事故例
平成26年には青森市の3階建ての建物において、緩降機の訓練中に参加者の転落事故が起きたことが報告されています。※6
緩降機には異常が認められませんでしたが、着用具が緩んでいたことと姿勢が不安定だったことから起きてしまったようです。
緩降機における事故は過去にも起こっており、今後同様の事故を起こさないためにも、以下の注意点に気をつけて使用することが重要です。
使用上の注意
緩降機の使用上の注意は以下になります。
- 着用具が体から抜ける可能性のある脱げやすい服装は避ける
- 長いロープと短いロープを確認し、短いロープのほうを着用する
- 着用具は頭からかぶり、必ず胸元において脇にはさむ形で正確に装着する
- 着用具を装着したら、降下姿勢になるまでの間は、装着側のロープを可能な限り引っ張っておく
- 開口部から身を乗り出す際は、急に体重をかけないようにする
- 降下する際はまず体を安定させ、降下中は不安定になるような体制にならない
- 訓練の際は、開口部と降下地点に監督者を配置し、安全を確保した上で行う
避難設備③: 救助袋
救助袋とは、火災などの災害時に建物の窓やバルコニーから地上へ安全に降りるための避難器具のことです。
救助袋には「垂直式(すいちょくしき)救助袋」と「斜降式(しゃこうしき)」救助袋の2種類があります。
垂直式救助袋

垂直式は建物の上階から垂直方向に、救助袋をらせん状に滑り降りて地上に避難します。
垂直に設置できるため、狭いスペースにも設置でき、地上側での固定作業が不要なため、避難者1人での使用もできます。
また、袋の中に入り降下するタイプなので、外の景色が見えません。
そのため、高いところが苦手な方でも、恐怖心が軽減されやすいのが特徴です。
【垂直式救助袋の使用方法】
垂直式救助袋の使用方法について簡単にご説明します。
- 収納箱を開け、袋本体を建物から地面に向かって斜めに伸ばし、下ろします。このとき、下端が地上で袋がしっかりと固定されていることを確認しておきます。
- 取っ手を持ち、足から袋の中に入ります。
- 内部の安心ベルトに手をかけたまま、背中から腰で滑り降りるイメージで降下します。
より詳細な使い方を知りたい方は、弊社(株式会社リライアークス)の動画ではございませんが、こちらの動画がわかりやすくおすすめです。
斜降式救助袋

一方、斜降式は建物から斜め方向に展開し、滑り台のように内部を滑り降りて避難します。
屋上やベランダなどの広いスペースで使え、安全な場所へ誘導できるため下に障害物がある場合でも使うことができます。
袋内部が広いため閉塞感が少なく、高齢者や子供でも使いやすいのが特徴です。
【斜降式救助袋の使用方法】
斜降式救助袋の使用方法について簡単にご説明します。
- 収納箱を開け、袋本体を建物から地面に向かって斜めに伸ばし、下ろします。このとき、下端が地上で袋がしっかりと固定されていることを確認しておきます。
- 取っ手を持ち、足から袋の中に入ります。
- 内部の安心ベルトに手をかけたまま、背中から腰で滑り降りるイメージで降下します。
より詳細な使い方を知りたい方は、弊社(株式会社リライアークス)の動画ではございませんが、こちらの動画がわかりやすくおすすめです。
事故例(垂直式救助袋)
平成21年には垂直式救助袋の訓練中に、訓練参加者が建物の3階から降下の際、救助袋の中でバランスを崩したため臀部を打ち、重症であったと報告されています。※7
また、平成22年には斜降式救助袋の訓練において、訓練参加者が建物の4階から降下中に、救助袋内で右足を負傷し、重症であったことも明らかになっています。※8
このような事故を防止し、安全に救助袋を使うためには以下のようなことに注意するのが重要です。
救助袋 使用上の注意点
▪️基本の注意点
- 急降下の危険を防ぐため下ろした救助袋本体がねじれていないかを確認する
- 落下が想定される場所に緩衝装置として設けられた保護マットなどが適切に設置されているかを確認する
- 降下中に足が引っかかるのを防ぐため、ハイヒールやゴム底など摩擦の大きい靴の使用は避ける
- 原則としてひとりひとり順番に降下する
- 実際の避難時にすぐ使えるよう、使用後は速やかに正しく収納しておく
- 救助袋を引き上げる際は、落下防止のため必ず安全帯などを装着する
▪️訓練時の注意点
- 事前に準備運動をし、体をほぐしておくこと
- 強風の日など、悪天候に日に訓練を実施しない
- 取付け金具と、救助袋本体に異常がないかを事前にしっかと確認しておく
- 救助袋出入り口に安全マットを設置し、より安全性の確保をする
- 降下姿勢についてしっかりと説明し、降下中は姿勢が変化しやすく負傷するおそれがあるため、注意喚起を促す
- 降下姿勢により摩擦が起き、擦り傷などをおう恐れがあるため、長袖・長ズボン・軍手などを着用し実施する
- 上下の出入り口に1人以上の監督者を配置し、相互に連絡を取り合って安全管理体制を整えたうえで実施する
避難設備④: 滑り台
避難設備における滑り台とは火災や地震などの災害時に、建物から迅速かつ安全に避難するための避難器具のことです。
建物の窓やバルコニーから地上までをつなぐ鉄板製で、主に「直線型滑り台」と「らせん型滑り台」があります。
直線型すべり台

直線型は設置スペースを抑えやすく避難時間を短縮でき、構造がシンプルなため維持管理がしやすいという特徴があります。
らせん型すべり台

らせん型は省スペースで多階層からの避難ができ、降下速度が一定になるため恐怖感を軽減できるところが特徴です。
使用上の注意
- 滑る面や着地点に障害物が置かれていないか確認しておく
- 遊具の滑り台のように深く座り、両手でサイドをつかみながら滑る
- うつ伏せや立ち上がるなど不安定な体勢は避ける
- 滑り始めたら、スピードが出過ぎないように落着いて滑る
- ひとりひとり落着いて順番に滑る
- 滑り降りたら次の人が安全に降りられるよう、迅速に避難口から離れる
避難設備⑤: 避難用タラップ

火災などの緊急時に使う、避難はしごの一種のことを指します。「階段状で手すりがついている」ところが避難はしごと異なる点です。
消防法の避難器具の基準にも避難用タラップは「階段状のもので、使用の際は手すりを用いるものをいう」と記載があります。
手すりがあることで、足元が不安な場合や恐怖心がある場合でも、安全に降りやすいところが特徴です。また、普段は建物の壁などに格納されており、緊急時に展開するようになっています。
避難タラップを使う際は手すりを持ち、落ち着いて慎重に一段一段足元に注意しながら降りるようにしてください。
事故例
避難用タラップは手すりがついており、本体が固定されているため安定しますが、事故例※9もありますので使用の際は注意が必要です。
過去には以下のような事故があったことも報告されています。
- タラップを降りている最中、脚部が動いたため、慌てて飛び降りてしまい、骨折してしまった。
- のり面(人工的な斜面)の昇降中に足を踏み外し、かかとを骨折してしまった。
- 移動式室内足場のタラップから転落し頭蓋骨を骨折してしまった。
- タラップの一番下の段から降りる際、転倒し足首を負傷してしまった。
このようなタラップの事故を防ぐために、使用の際は以下のようなことに気をつけることが大切です。
使用上の注意
- 本体に大きく目立つ変形・破損・サビ・腐食・損傷などがないか確認する
- 固定部がしっかりと固定されており、緩みがないか確認する
- タラップの踏み板の滑り止めに目立つ摩耗などがないか確認する
- 回転部・折りたたみ部・伸縮部などの作動が円滑に行えるかを確認する
- タラップ使用の前に、靴が滑りやすくないかや服装・安全器具に問題はないかを確認する
避難設備⑥: 避難橋(ひなんきょう)

火災時などに通常の避難経路が使えない場合に、建物から建物へ避難するため、2つの建物を結ぶ橋状の避難設備のことを指します。
ほかの避難設備は高所から地上へ避難することを目的としていますが、避難橋のみが「一度隣接する建物に逃げてから地上へ避難する」という使い方になります。
また、避難先の建物については、所有者や敷地の同意は不要だとされていますが、所有者と敷地が異なる場所での設置は、さまざまな条件を満たす必要があります。
さらに、設置するためには「建物同士の高さが同じであること」も条件であるため、現在はあまり浸透していないようです。
使用上の注意
- 本体に大きく目立つ変形・破損・サビ・腐食・損傷などがないか確認する
- 安全上、設計や規定で定められた長さをクリアしているかを確認する
- 床板はすき間なく施工してあり、滑り止めの対策をしていかを確認する
- 床板と手すりまでの間に転落を防ぐための対策がしてあるかを確認する
避難設備⑦: 避難ロープ

火災などの災害で階段などの避難経路が使えなくなった際に、建物の上の階から安全に地上へ降りるための避難器具です。
通常は建物の2階(2階建ての建物)のみの設置が可能で、それより上の階に設置することはできません。
つり下げ金具・ロープ・滑り止め(ステップや結び目)などで構成されており、滑りを防ぎ安全に降下できるよう工夫されています。
避難ロープの使用方法
以下、簡単な避難ロープの使用方法になります。
- ケースから避難ロープを取り出し、つり下げ金具を手すりや専用の取付け具に設置します。
- 避難ロープを降ろしたら、ロープが降りるスペースに障害物がないか確認します。
- ロープをしっかりと握り、両足を揃えた状態でステップに乗る
- 一段上のステップを握り、膝を曲げる
- 両足を揃え、次のステップに足を乗せ、落ち着いて降下する。
使用上の注意
以下、避難ロープ使用時の注意点となります。
- 万が一のときに備え、事前にロープ取付け場所を設置しておく
- 避難経路となる窓などの開口部付近に設置する
- 避難ロープを広げるための十分な空間を確保して設置する
- 降下の際に必要なスペースを確保できる場所に設置する
- 降下後、安全な避難スペースが確保できる場所に設置する
- 避難時の邪魔にならないよう、避難ロープ本体や設置場所付近には物をおかないようにする
避難設備⑧: すべり棒

垂直に固定された棒を滑り降りる棒状の避難器具のことです。
消防士を題材とするドラマなどで出てくるイメージがありますが、速度が出過ぎて危険を伴うことがあります。そして、ある程度の腕力も必要になるため、高齢者や子供には使いづらいとされています。
設置場所は建物の2階に限定されており、病院などの特定の防火対象物には設置することができません。
また、消防法で規定されていますが、階段を使用して避難した方が早いことが証明されたり、消防隊員が落下する事故があったため、現在ではほとんど使われることはないようです。
ご紹介した避難設備と消防法
上記でご紹介した7つの避難器具は、消防法により規定が定められています。
消防法 避難器具の基準
第一 趣旨
この告示は、消防法施工規則(昭和三十六年自治省令第六号)第二十七条第九号に規定する避難器具の構造、材質及び強度の基準を定めるものとする。
第二 用語の意義
この基準において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 避難はしご 固定はしご、立てかけはしご及びつり下げはしごで金属製以外のものをいう。
二 すべり台 勾配のある直線状又はらせん状の固定された滑り面を降りるものをいう。
三 すべり棒 垂直に固定した棒を滑り降りるものをいう。
四 避難ロープ 上端部を固定しつり下げたロープを使用し降下するものをいう。
五 避難用タラップ 階段状のもので、使用の際、手すりを用いるものをいう。
六 避難橋 建築物相互を連絡する橋状のものをいう。
七 救助袋 使用の際、垂直又は斜めに展張し、袋本体の内部を滑り降りるものをいう。
引用元:総務省消防庁 告示 避難器具の基準
避難設備+α: 誘導灯

火災などの非常時に、建物内の人々を安全に屋外へ避難させるために、避難口や避難する方向を示す証明器具です。
普段は常用電源で点灯していますが、停電時は最低20分(規模により60分以上)は点灯し続け、安全な避難経路を確保します。
多くの人々が利用する建物や地下・無窓階・11階以上の建物に設置義務があり、「避難口誘導灯」「通路誘導灯」「客席誘導灯」の3つの種類があります。
- 避難口誘導灯
直通階段の出入口付近などに設置されており、緑色で人が走っている絵が描かれているのが特徴です。 - 通路誘導灯
廊下や階段の曲がり角などに設置され、避難口がどちらにあるのかを示すものです。白ベースの背景に緑色の矢印が描かれているのが特徴です。 - 客席誘導灯
映画館や劇場などの薄暗い客席に設置され、停電などの非常時に暗闇でも観客がつまずくことなく、安全に避難できるように足元を照らす誘導灯です。矢印などの表示は不要で、避難経路を明るく照らすことが主な役割になります。
避難設備+α: 誘導標識

火災などの非常時に、建物の中にいる人々が安全に屋外へ避難できるように道筋を表す標識のことを指します。
誘導灯はバッテリーや照明器具を必要としますが、誘導標識は蓄光式(ちっこうしき:光を蓄えて暗闇で光ること)であるため、それらは必要ありません。
誘導標識は「避難口誘導標識」と「通路誘導標識」の2種類があります。
- 避難口誘導標識
一般的に緑色の背景に白い文字のものになり、避難口付近や真上に設置されます。 - 通路誘導標識
白い背景に緑の文字が基本で、廊下の曲がり角や避難口までの歩行距離が、7.5m以下となるところに設置されます。
マンションのベランダにある仕切は避難設備のひとつ?

上記の画像のようなマンションや集合住宅のベランダにある仕切は避難設備の一種です。「隔て板」が一般的な呼び方のようですが、マンションごとに以下のようなさまざまな名前で呼ばれています。
- 仕切り板
- 蹴破り戸(けやぶりど)
- 隔て板(へだていた)
- パーテーション
- 間仕切り
- ベランダ隔て など
通常は隣の住居とのプライバシーを保つための間仕切りになりますが、火災などの災害時に玄関からの避難が困難となった際、隔て板を蹴破って隣人のベランダへ避難します。
緊急時の隔て板を破り方
以下、火災が起きた際など緊急時隔て板を破る方法を簡単にお伝えします。
- 手すりや壁を支えにして、安定した体勢をとる
- 板の中心一点に狙いをつけ、力強く何度も蹴り込む
- 自分の力だけで破るのが難しい場合は、金属バットやフライパンなどを使う
- 「火事です!避難してください!」など大きな声で隣人に火事であることを伝える
- 破った穴をくぐり抜け、隣のベランダへ移動し避難する
使用上の注意
- いざというときにすぐ蹴破れるように、隔て板の前に物を置かない
- ケガのリスクを減らし力を伝えやすくするため、厚底の靴を履くことがおすすめ
- つま先で蹴るのではなく、かかと蹴り上げるイメージで蹴る
- いろいろな場所を蹴るのではなく、一点を集中的に狙って蹴る
避難設備の設置や点検は株式会社リライアークスへ

避難設備は消防法で定められた消防用設備のため、年2回の「機器点検」と1年に1回の「総合点検」が義務づけられています。
いざというときに避難設備が確実に作動するかを確認するため、建物の所有者は定期的な点検を行い所轄の消防署へ結果を報告しなければなりません。
※消防設備点検について詳細を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

避難設備の設置や法定点検・定期的な点検は、消防設備の設置・点検・整備・改修を行う専門業者である消防設備会社に依頼することをおすすめいたします。
消防設備会社には、国家資格である消防設備士や消防点検資格者などの国家資格を持つスタッフが在籍しているため、消防法に基づいた適切な業務を行うことができます。また、点検後の報告書の作成からトラブル発生時の改修工事まで一貫した対応が可能なため、安心してご依頼いただけます。
私たち【株式会社 リライアークス】も消防設備会社となります。
お客様に安心と安全をお届けするため、以下の3つをポリシーとし、消防設備点検や工事施工を行っております。
- スピード感
- 対応力
- 柔軟性

弊社は横浜市を活動の基点とし、1都3県で消防設備関連の業務を請け負っており、点検で発生した不備事項や新規店舗・テナント改装・リフォームによる移設など、全ての消防設備点検や設置を自社・協力会社様とともに幅広く対応しております。
施工後のアフターサービスはもちろんのこと、万が一のトラブルやその他のお困りごとにも、誠心誠意対応させていただきます。
消防設備の設計・施工・法定点検は専門知識を持つ弊社に是非お任せください!!
まとめ

避難設備とは消防用設備の一種で火災などの災害時、階段やエレベーターが使えないなどの緊急時に人々が安全に避難するための器具や設備のことです。
現在日本では、火災での死者の半数以上が65歳以上の高齢者であることと、火災時の逃げ遅れは病気の方や体が不自由な方が最も多いということがわかっています。
そのため、特にマンションや集合住宅などの高層階では、避難設備はとても重要だということが言えます。
避難設備には以下のような種類があります。
- 避難はしご
- 緩降機
- 救助袋
- 避難ロープ
- 滑り台
- 避難用タラップ
- 避難橋
- すべり棒
- 誘導灯・誘導標識
避難設備は人々が安全に避難できるように用いられるものですが、訓練中の事故も発生していることが明らかになっています。
そのため、避難設備の訓練を行う際は事前に器具の状態や障害物がないかを確認すること、適切な服装を着ることなどを意識し、落ち着いて実施することが大切です。
そして、避難設備は消防法により建物の用途・収容人数・階数などによって設置すべき種類や数が定められています。また、点検もいつ起こるかわからない災害に備え消防法により義務づけられています。
避難設備の設置や点検を検討されている方、お困りごとがある方は専門的な知識とスキルがある弊社【株式会社 リライアークス】までぜひ一度ご相談ください。



