
消火器は、火災発生直後の火がまだ小さいうちに消火を行うことのできる携帯型消防用設備です。
火を早い段階で消し止めることができるため、非常に大切な設備になります。
消火器は住宅をはじめ、学校・病院・工場・飲食店などさまざまな場所で見かける機械が多い消防設備ですが、いろいろな種類があり、それぞれ用途が異なることをご存じでしょうか?
今回の記事では、消火器の種類とそれぞれの用途と、役割・目的・設置基準について詳しく解説していきます。
また、消火器の使い方や使用期限についても解説しています。
いざという時に正確に使えるようにしておくために、ぜひ最後までご覧いただけますと幸いです。
消火器の”役割”や”目的”とは?

消火器は、「窒息・冷却・除去」の3つの作用によって火元の燃焼の連鎖反応を止め、火災の拡大を防ぎます。
そのため、『初期消火』が可能な火災の際には、その場にいる人が安全に、そして被害を最小限に抑えて火を消し止めることができるように作られた消防用設備になります。
また、火災・防災を知る上で、「初期消火」や「消火の原理」は非常に重要となりますので簡単にご説明いたします。
初期消火とは?
初期消火とは、火災が発生した直後の火が天井に届く前の約2〜3分の間に消火器や水・布団などで酸素を遮断し、鎮火をすることで火災の延焼を防ぎ、被害を最小限に抑える消火活動のことを言います。
※消火器は、初期消火のための消防用設備となるため、すでに火が天井まで届いている火災の場合は速やかに消火を止め、身の安全を確保しいち早く避難するようにしてください。
初期消火には、『初期消火の3原則』という基本の行動が決められています。
火災が発生した際には初期対応として、以下の3つの行動を心がけ初期消火にあたります。
- 「火事だ!」と大声で叫び、近隣や周囲に知らせ助けを求める。
- 小さな火でも必ず119通報をする。
- 消火器、水、濡れた毛布などで出火直後の天井に燃え移る前に火を消し止める。
- 無理はせず、3分以内を目安に行う。
- 天井に火が達したり、煙が充満したりした場合は無理に消火せず速やかに避難する。
消火の3原則とは?

燃焼は「可燃物」「温度(熱)」「酸素」の3つの要素が揃うことで発生します。消火の原理は、この3つのうちのどれかひとつを取り除くことで火を消し止めることができます。
消火の3原則は「除去消火(じょきょしょうか)」「冷却消火(れいきゃくしょうか)」「窒息消火(ちっそくしょうか)」の3つの消火方法になります。
【除去消火】

除去消火は燃焼に必要な可燃物(燃えている物)その物を取り除くことで火を消す方法です。
燃えている場所から可燃物を物理的に遠ざけたり、燃料の供給を止めたりすることで燃焼を中止させます。
住宅火災であればガスコンロの元栓を閉めることや、森林火災であれば燃えている周辺の木々を伐採して可燃物をなくし、燃え広がりを防ぐなどが該当します。
【冷却消火】

冷却消火は燃えている物の熱を奪い、燃焼を維持できなくなる温度まで冷やします。
最も代表的な方法は「水」をかけることで、可燃物に水をかけ、蒸発する際に周囲の熱を大量に奪うことで強力な冷却効果を発揮します。
【窒息消火】

窒息消火とは燃焼に必要な酸素の供給を絶つ、もしくは減らすことで火を消す方法です。
炎は酸素がないと燃え続けることができないため、酸素を遮断することで燃焼を停止させます。
毛布などの布で火を包み込み、フタをすることで酸素を遮断する方法が一般的です。
※上記の3原則以外にも+αの消火方法として、「負触媒作用(ふしょくばいさよう)」という抑制消火(よくせいしょうか)もあります。
負触媒作用とは、燃焼に必要な連鎖的な可燃物と酸素の結合を化学的に抑制することで、ハロン消火剤や粉末消火剤が使われます。
消火器の必要性

消火器は、炎の小さい初期消火が可能なうちに用いることで、火元を安全かつ確実に消し止め、その場所の人命や財産への被害を最小限に抑えてくれる消防用設備です。
また、消火器は一般家庭や職場での油・電気・普通火災など様々な種類の火災に対応でき、消防車が到着するまでの時間稼ぎや延焼防止などの役割もあります。
実際に東京消防庁の令和年のデータによると、消火器を用いた初期消火の成功率は「7割以上」と非常に高い結果もデータとして出ています。
今年(令和8年)2/8に富山市の2階建てアパート1階出火がありましたが、部屋の住人が消火器で初期消火を行ったことで延焼には至らず、消防が到着する前には火が消し止められていたという実例がありました。その結果、この火事でケガをした人や隣の部屋への延焼もなかったそうです。
この例からもわかるように、消火器は初期消火に対して非常に必要性の高い設備ということがわかります。
参考:“【続報】アパートのトイレから出火、この部屋の女性(50)初期消火で延焼なし 富山市新根塚町で「1階窓から白い煙が見える」と通報 “, Yahoo!JAPANニュース, 2026/2/8
消火器の種類とそれぞれの用途

火災は主に燃える物質によって以下の3種類に分類されます。
- A火災(普通火災):紙・木・衣類・プラスチックなど
- B火災(油火災):ガソリン・油・塗料など
- C火災(電気火災):配線・モーター・変圧器など
上記の火災の種類ごとに適した消火器の種類が異なります。
この章では、消火器の種類とそれぞれの用途について解説しいたします。
消火器の「適応火災マーク」について

消火器には、どの消火器が3つの火災(普通・油・電気)に有効かを色とイラストで表した「適応火災マーク」と呼ばれるマークが付いています。
- 白色 = A火災(普通火災)
- 黄色 = B火災(油火災)
- 青色 = C火災(電気火災)
以前は文字で表示されていましたが、現在はアイコンで表現されています。設置場所に適した消火器を選ぶために、このマークは必ず確認しましょう。
消火器の種類①: 粉末(ABC)消火器

A火災・B火災・C火災の全ての火災に対応できる、日本シェア率90%と最も普及している消火器です。
リン酸アンモニウムなどを主成分とした粉末状の薬剤を放出し、粉末が燃焼面を覆う窒息効果と、連鎖の反応を止める抑制効果で火を消し止めます。
即効性があり、安価で軽量なものが多いというメリットがありますが、使用後に周囲が粉だらけになる、放射時間が短い(約10〜20秒)というデメリットもあります。
消火器の種類②: 強化液消火器

炭酸カリウムなどの水溶液(強化液)を主成分とした、浸透・冷却効果の高い液体系消火器です。
B火災(天ぷらの油火災)やA火災に特化しており、霧状の薬剤が火元に浸透し再燃を防ぐため、厨房や家庭用として最適です。
粉末消火器に比べ放射時間が長く(約30〜70秒程度)、全ての火災に対応でき、浸透効果に優れているため、布団などの繊維深部まで行き渡りくすぶった火も確実に消し止められます。
しかし、液体なので凍結の恐れがあるため、極端な寒冷地にはあまり向いていません。
消火器の種類③: 二酸化炭素消火器

高圧で液化した二酸化炭素(CO²)を放射し、窒息・冷却効果で火を消すガス系消火器です。
消火後の残留物や汚損が一切なく電気絶縁性が高いため、精密器機やC火災に最適です。
粉末消火器のように、薬剤が飛び散らないので使用後の掃除が不要で、ガス系なので機械の内部など奥深くまで消火剤が行き渡るのがメリットです。
消火器の種類④: 泡消火器

化学反応やノズルで発生させた泡を放射し、B火災や普通火災を窒息と冷却作用で鎮火する消火器で、駐車場やガソリンスタンド・厨房・危険物取扱所などで重宝されています。
特にB火災(油火災)に対して非常に効果的で、泡が油膜を覆い、酸素を遮断し水分で冷やすことで火を消し止めます。
泡は水より軽いため表面に溜まりやすく、少ない薬剤で効果的に酸素を遮断し、被害拡大を抑えられるのが大きなメリットです。
しかしながら、泡は電気を通しやすいため、C火災には適していません。また、消火後の大量の泡の処理が大変なことや初期設置には高いコストがかかるところがデメリットとなります。
消火器の設置が必要な建物と設置基準について

消火器の設置基準は「消防法施行令第10条」により定められています。こちらでは、消火器の設置が必要な建物と、決められた設置場所について解説していきます。
消防法施行令
「(消火器に関する基準) 第十条 消火器又は簡易消火用具(以下「消火器具」という。)は、次に掲げる防火対象物又はその部分に設置するものとする。
一 次に掲げる防火対象物 イ 別表第一(一)項イ、(二)項、(六)項イから(3)まで並びロ、(十六の二)項から(十七)まで並びに(二十)項に掲げる防火対象物 ロ 別表第一(三)項に掲げる防火対象物で、火を使用する設備又は器具(防火上有効な措置として総務省令で定める措置が講じられたものを除く。)を設けたもの
二 次に掲げる防火対象物で、延べ面積が百五十平方メートル以上のもの イ 別表第一(一)項ロ、(四)項、(五)項、(六)項イ(4)、ハ及びニ、(九)項並びに(十二)項から(十四)項までに掲げる防火対象物 ロ 別表第一(三)項に掲げる防火対象物(前号ロに掲げるものを除く。)
三 別表第一(七)項、(八)項、(十)項、(十一)項及び(十五)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が三百平方メートル以上のもの
四 前三号に掲げるもののほか、別表第一に掲げる建築物その他の工作物で、少量危険物(法第二条第七項に規定する危険物(別表第二において「危険物」という。)のうち、危険物の規制に関する政令(昭和三十四年政令第三百六号)第一条の十一に規定する指定数量の五分の一以上で当該指定数量未満のものをいう。)又は指定可燃物(同令別表第四の品名欄に掲げる物品で、同表の数量欄に定める数量以上のものをいう。以下同じ。)を貯蔵し、又は取り扱うもの
五 前各号に掲げる防火対象物以外の別表第一に掲げる建築物の地階(地下建築物にあつては、その各階をいう。以下同じ。)、無窓階(建築物の地上階のうち、総務省令で定める避難上又は消火活動上有効な開口部を有しない階をいう。以下同じ。)又は三階以上の階で、床面積が五十メートル以上のもの引用:消防法施行令第10条
消火器の設置が必要な建物
【延べ面積に関係なく設置が必要な建物】

- 劇場/映画館など
- キャバレー/ナイトクラブ
- カラオケボックス/料理店
- 飲食店
- 病院/老人ホーム/介護施設/児童福祉施設
- 地下街
- 重要文化財
- 資料館/美術館 など
【延べ面積が150㎡の建物】

- 公会堂/集会場
- 百貨店/マーケット
- 旅館/ホテル/宿泊所
- 寄宿舎/下宿者/共同住宅
- 診療所/助産院
- 老人福祉施設/介護施設
- 幼稚園/特別支援学校
- 浴場/サウナ
- 工場/作業所
- 映画・テレビスタジオ
- 駐車場/倉庫 など
※危険物や指定可燃物を一定量以上貯蔵し取り扱う施設や、地下・無窓階・3階以上の50㎡以上の部屋には、例外なく設置が必要となります。
【延べ面積が300㎡の建物】

- 小学校/中学校/高等学校
- 大学/専門学校
- 図書館
- 博物館/美術館
- 車両の停車場
- 飛行機・船舶の発着場
- 神社/寺院
- 教会 など
※危険物や指定可燃物を一定量以上貯蔵し取り扱う施設や、地下・無窓階・3階以上の50㎡以上の部屋には、例外なく設置が必要となります。
また、設置される消火器の設置本数は建物ごとの面積や燃えやすい物の量によって決まります。
設置本数を確定するには火災予防条例*の基準に従い、消防署で相談することが大切です。
火災予防条例とは?
火災の発生や拡大を未然に防ぐため、消防法に基づき各地方自治体が定めた「火災を防ぐ貯めのルール」です。
消化器の設置基準やポイント
消火器の設置上の基準は「消防法施行規則第6条」「消防法施行規則第9条」にて決められています。
- 防火対象物の各階のどの場所からでも歩行距離20m以内(大型消火器は30m以内)になるように設置する。
- 通行・避難の妨げにならず、緊急時に持ち出しやすい場所へ設置する。
- 床面から1.5m以下となる見えやすい位置に設置し、「消火器」の標識を掲示する。
- 地震や振動などで転倒しないようしっかりと固定すること。
- 消火薬剤が凍結や変質・噴出をしないよう、高温多湿や急激な温度変化のする場所には設置しない。
消火器の使い方

万が一火災が起こったときのために、消火器の使い方を覚えておくことは大切です。一般的な消火器(粉末消火器)の使い方は以下の通りでとてもシンプルで簡単です。
- 消火器を落としたり当てたりしないよう注意しながら、火元付近の安全な場所へ移動させます。
- 黄色い安全ピンを上に引き抜きます。
- ホースの根元を持ち、ホースを外します。
- ノズルの先を火元に向けます。
- レバーを強く握って噴射を開始します。
- 火元から2~3m離れたところから、ホウキを履くように左右に動かして消火します。
弊社でも地域の水消火器を使った消火訓練のイベントに参加したりしています。

消火器の使用期限について

消火器の使用期限は、住宅用が「約5年」、業務用が「約10年」になります。
使用期限を過ぎた消火器は内部のサビや経年劣化により、使用時に破裂して重大な事故につながる恐れがあります。
また、消火器は高い圧力で消火薬剤を噴射する容器ですが、寿命が過ぎたものはこの圧力に本体が耐えられず、破裂する恐れがあります。
常に使用できます
そのため、日頃から以下のようなことを点検の目安としておくことが大切です。
- 容器本体に変形・サビ・剥離などの異常がないか
- ホース本体に亀裂や破損がなく、キャップに緩みがないか
- 圧力ゲージ*がついている消火器は指針が緑色の範囲を示しているか
*圧力ゲージがついている消火器の場合、指針が緑色の範囲内にあれば正常に使用できます。
消火器に法定点検は必要?

「消防法第17条3の3」に基づき、設置義務のある消火器は6ヵ月ごとの「機器点検」と1年ごとの「総合点検」が必要となります。
- 機器点検
主に外観(サビ・損傷・変形・ホースの亀裂・圧力計の緑色範囲確認など)を目視と触手で行います。 - 総合点検
製造年数に応じて内部点検や水圧点検を実施し、いざというときに確実に使えるかどうかを確認します。内部の薬剤の状態や実際に噴射実験を行ったり、目視や触手だけでは判断できない状態をチェックします。
どちらの点検も完了した際には、結果を所轄の消防署長に提出しなければなりません。
消防法
「第十七条三の三 第十七条第一項の防火対象物(政令で定めるものを除く。)の関係者は、当該防火対象物における消防用設備または特殊消防用設備等(第八条の二の二第一項の防火対象物にあつては、消防用設備等の機能)について、総務省令で定めるところにより、定期に、当該防火対象物のうち政令で定めるものにあつては消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検させ、その他のものにあつては自ら点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。」引用元:消防法
消火器の設置や点検は防災設備会社がおすすめ

消火器の設置や点検は、法令遵守や適切な種類の選定、設置後のメンテナンスを確実に実施できる防災設備会社に依頼するのがおすすめです。
防災設備会社は消防設備士や消防設備点検資格者などの国家資格を有するプロが在籍しており、法令を遵守し、安全を確保しながら業務を実施しております。 また、防災設備の設置から定期的な法定点検・報告・不備の改修、そして万が一の緊急対応まですべての工程を一貫体制でサポートできるためおすすめになります。
弊社の関連施工例 (一部)



その他、弊社の施工実績はこちらに纏めています。
クライアント様の都合上、ホームページにすべての施工実績を掲載することができないため、施工実績にないものでもお問い合わせいただければ、お答え致しますのでお気軽にご相談ください。
私たち【株式会社 リライアークス】も消防設備会社となります。
消防設備士や消防点検資格者などの有資格者が常駐しており、消防法に遵守し適切な設置・点検・工事をワンストップで行なっております。
私たちは、特にお客様に安心・安全をお届けするため、以下の3つをポリシーとし業務を行っております。

- スピード感
- 対応力
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私たちは横浜市を活動拠点とし、1都3県で消防設備関連の業務を請け負っており、点検で発生した不備事項や新規店舗・テナント改装・リフォームによる移設など、全ての消防設備点検や設置を自社・協力会社様とともに幅広く対応しております。
施工後のアフターサービスはもちろんのこと、万が一のトラブルやその他のお困りごとにも、誠心誠意対応させていただきます。
消防設備の設計・施工・法定点検は専門知識を持つ弊社に是非お任せください!!
まとめ

消火器は火災の初期段階において、人が操作し安全かつ迅速に消火するための消防用設備の一種です。
消火の3原則「除去消火」「冷却消火」「窒息消火」により燃焼の要素(可燃物・酸素・熱)を取り除き、速やかな消火を促します。
消火器には以下のような種類があり、火災の種類によりそれぞれ用途が異なります。
- 粉末(ABC)消火器
- 強化液消火器
- 二酸化炭素消火器
- 泡消火器
消火器の設置が必要な建物は「消防法第10条」に、消火器の設置基準は「消防法施行規則第6条・9条」にて定められています。
消火器による初期消火をしたことで、大事には至らなかったという実例もあることから、消火器の設置は非常に重要だということがわかります。
火災はいつ起こるか予測ができません。いざというときのために消火器を設置し、適切に使えるようにしておくことが大切になります。
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